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ナス(Solanum melongena)は夏野菜の代表ですが、九州などでは促成、半促成も含め、一年中安定して生産されるようになりました。どちらかといえば季節感のなくなった野菜のひとつです。 ![]() 原産はインドで、有史以前の古くより作物化されていたようです。西へはペルシァ、アフリカを経て16世紀にヨーロッパに伝播しました。東へは中国を経由し、日本には7世紀、奈良時代前後に渡来したといわれます。初夢で縁起のよいものとして「一富士、二鷹、三なすび」とあります。鷹とは駿河の国の愛鷹山、なすびとは当時高値のナスを意味するとか、成す(成就する)すなわちこれ吉兆とする縁起野菜でもあります。 さて、ナスは元来高温性の植物でしたが、戦後、作付方法の改良や施設栽培の発達によって全国的に栽培されるようになるに従い、根強い人気を博するようになりました。結果として多品種があります。形は小丸から卵型、紡錘型、中長、大長まで、色は紫から青、白ありです。現代では何といっても、カラスの濡れ羽色になぞらえた茄子紺すなわち濃い紫をよしとし、形は利用しやすいことから中長が人気です。しかし山形の小なす、京都の加茂なす(米ナス型)、長崎の大長なすのようにいまだに地域の特産として残っているナスもあり、その歴史の長さを感じさせてくれます。 『秋茄子は嫁に食わすな』は、「最も美味しい秋茄子は・・」という姑の嫁いびりという説もありますが逆に「秋茄子は種無し、よって子種絶ゆ」という姑の親切心という説もあります。 ナスの人気は、栽培のしやすさと調理・料理の広さ、そして何と言っても美味しさにあるのでしょう。焼き物(焼きなす、グラタン、なすバーク)、煮物、炒め物(麻婆なす、韓国風、ベーコン茄子)、揚げ物、スープから漬物、どんぶり物・カレー、デザート(なす羊羹など)までレパートリーの広さに驚きます。だしやドレッシングもあり際限がありません。 ナスにはアクがあります。これはポリフェノールの一種のクロロゲン酸です。これがなす特有の隠し味を呈し、美味しさにつながっているのではないかと思われます。栄養価は高くないのですが、近年、ナスの高い機能性として抗変異原性(対ベンツピレン、カビ毒など)と抗酸化性が報告されています。これらの効果は加熱しても残存します。紫色のアントシアニンはナスニンと呼ばれ、先述のアク成分と一緒に機能性が見直されています。 宮崎県では、温暖な気候を利用して促成と半促成栽培が宮崎平野で、露地栽培は都城、小林、高千穂の山間部にて合計3,000トン弱が生産されています。品種は中長、濃紫色の筑陽です。 ナスは食物繊維に富む低カロリー野菜ですので量的にも食べやすい絶好の食材です。いろんな調理法とアイディアで楽しい美味しさを創ってください。固いこと言わずに、嫁も姑もおとなも子供も老いも若きも、どしどし食べていただきたい健康食材です。 |